2008年06月23日

出刃包丁の功罪

確かその日の朝は、ごくごく普通のメイドさんの給料日でした。いつものココナッツが隣の家の門番によって渡されたことなど知らず、私は家の中に居ました。確か、ソファの上で寝転がっていたように思います(床が石だから、適当な寝転べる所がないのです)。

普段、門番が私に用がある場合、いつもメイドさん経由で呼ばれるのですが、その時は門番の『マダーム』という声が聞こえました。…誰か私を呼んだ?空耳かな?とも思ったけど、やっぱり呼んでます。玄関に出てみると、やっぱり門番が居ました。

『なぁに?』指差された方向を見てみると、ココナッツ、血のついた出刃包丁…の横に、手が結構流血している我がメイドさん!何が起きたのかは瞬時にわかりました。お豆腐みたいにココナツを手の平に載せて切ろうとしたのかな?ココナツではなく自分の手のひらをパックリ切ってしまった模様。

とても絆創膏で対処できる量ではなかったため、病院へ。かなり動揺したので、お金を多めに持って家の鍵を閉めたあと、車の鍵を忘れていたことに気付いてもう一度、家の鍵を開けることに…。だって、血が…血が…。

後部座席に乗ったメイドさんに『手をこうやってあげておきなさい』って一応指示して(心臓より高い位置の方が血が余計に流れないような気がして…)、門番に門をあけてもらって車を出しました。…で、メイドさんに『彼もよ』…と、私独自のフランス語で促し、門番も後部座席に乗るように手招きしました。

門番派遣会社の規定では、勤務中に持ち場を離れてはいけません。おつかい等頼まれてやむを得ず持ち場を離れる時は、制服から着替えて、私服で出なければなりません。特別真面目な彼は葛藤していたようです。でもね…私、車の運転とお金出すことしか出来ないの。病院で処方箋持っておつかいして来いとか言われたら困るの。メイドさんの手当てを急いでるの。

持ち場を離れることについては、隣の家の門番に任せました。身振り手振りで『俺が見ておく』って言ってくれました。ま、奥まった場所だから、滅多に誰も来ないけど。『早く!』と、せかせて、車を出しました。日本だったら絶対に救急車呼んでたんだけど、ここでは出来ないから。ヘタな運転でも私が車を出す方がメイドさんに病院まで走ってもらうより早いから。

未だかつてないほど焦った気持ちで運転していると、道の真ん中にやせこけた野良犬が…昼寝して動きません!『ビービービー!』と、クラクションを鳴らすと、ようやく面倒くさそうに起き上がってどっか行ってくれました。3人で力なく笑いました。

それでちょっとリラックス出来て、無事、州立病院に着きました。5分もかからない所なんだけど、一応、普段より緊張して、用心しながらも速く(でも、時速50キロぐらいだったかも…普段は30キロぐらいで走ってますが)。

自分が連れて来られて間もない頃だったので、手順はわかっています。まず、何の用で来たのかを告げて門を開けてもらう役…は、門番が現地語で。行き先の救急病棟の場所は知っています。一番奥でしょ?最近来たところだから。非常に手際よく車を滑らせました。もうすぐ手当てしてもらえるからね、メイドさん、がんばれ!
posted by サウンジャ at 22:50| 発展途上国アフリカ駐在の小道具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする