それはそれは、大変な苦労だったはずです。が、他人から見れば、どうでも良いことになります。一般に、日本人はあくせく働いていて他人のことに構う余裕がないものです。海外でどんな困難を乗り越えてきたのか…なんて、近所のおばさんが聞きたがる訳でもないでしょう。外国では、『外国人がいるー』って遠慮なく現地の子供達に指さされてきた駐在員たちも、日本に帰ればただの人です。ただ無難に過ごしていることだけを望まれます。
…にも関わらず、無難に徹することの出来ない帰国者が多いのも事実。幾多の困難を乗り越え、無理と言われた事業を成功させたビジネスマンの底力…を、遠慮なく近所の隣人に発揮されても困ります。日本では、徹底した合理主義はあまり歓迎されません。悪いことをする前から、『すみません…』と頭を下げて謝る文化です。世界基準を知ってしまった者から見れば変な慣習ですが、日本では全ての日本人に期待される常識です。
海外駐在で出て行ったり戻って来たりする人の多い会社の社宅に住んでいると、時々、とんでる帰国者に出会います。当事者はもちろん『そういう人』に慣れてますが、駐在のない部署の人に言わせてみれば、『同胞人とは思えない』言動に驚かれます。『そういう人も居る会社に勤めているんだから、慣れてもらって当然』って思ってしまうのか、無意識なのか…。
一応、社宅には所定のルールがあって、そのルールを自分の時だけ変更してもらおうという人は、なかなか居ません。…海外駐在帰りの人以外は。既存のルールを特別に変更してもらう交渉力はビジネスマンの能力の証…かも知れませんが、『無難な隣人』の範疇からは遠のいていきます。
社宅にはちょっとしか住まないから?挨拶も無しにガヤガヤと引越してきて、挨拶も無しにガヤガヤと出て行く一家(騒がしい世代のお子さんあり)。『これだから海外帰りの奴らは…』って言われてしまいます。海外基準ではおかしな文化であるにせよ、日本に戻ってきたら日本人として求められる言動をとりたいものです。
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