発展途上国だからこそ起こり得る事態だと思いますが、遅滞なく家賃を払いながら住んでいる最中の私達の家の中に大家さんがチェックしに来ます。この時に、『こんなに壊したんだから退去する時にいくら弁償してね』って額が決まります。日本では確か、退去の当日にそんなイベントがあったような気がします。敷金がいくら返ってくるかの決まる瞬間なので、退去の日までに壁の汚れはうまく誤魔化しましょう…っぽい話を聞いたことがあります。
まだ住んでいる最中に来られても、入居者としては迷惑な気がします。また、チェックのあとに家を壊したり汚したりされたら大家さんも困りません?荷物を全部出して鍵を返す時に現場でチェックすれば不公平もなくて良いと思うのですが。おかしい、おかしい…と、日本の常識を持ち出しても仕方ないので、郷に従うことにしました。
会社の方には言われてました。『昔の駐在員の○○さんが借りてた時の大家はすっごくセコくて嫌なヤツで、ひどい請求を受けたものだよ。
ベルナルドさんは知る限りこの地域で一番おおらかな人だし、その息子(=相続人)も大らかだから心配いらないとは思うけど。でも、一応、気を付けてね。』
家を引き払う日よりも重要な日であること、及び、当日は決して庭にゴミなど放置しないこと、大家さんが来たら一同愛想よく挨拶すること、その日に向けて雑草もきれいにとって最高の状態を見せるように努めること…などを、私のつたないフランス語で書きました。それをメイドさんに現地語訳してもらいます。
出来る限り最高の状態で我が家がキレイな時に、大家さんがやってきました。もともとボロっちい箇所の多い家ではありました。あっちこっちに穴が空いていたり、雨漏りしたり、隙間があったり、壊れていたり。『寝室の窓のガラスが割れたままなのもひどい!』
※鉄格子が入っている窓なので、防犯上の問題はないけど、雨季の大雨が寝室に入るなどの被害があります。って言ったことがありますが、『実はサウンジャがこっち来る前に…』主人が自分でウッカリ割ってしまったのだそうです。そこは請求されたら払うしかないでしょう。
寝室にエアコンを付けるために、石膏ぽい素材の壁をぶち抜いて工事していました。およそ縦30cm、横120cmぐらい。重たいエアコンを壁からぶら下げるのではなく、壁に開けた穴の断面に置くスタイルがありがちなエアコン設置方法です。前に住んでいた人が一旦ぶち抜いていたのをあとから違う色のペンキを塗ってふさいだわかりやすい所だったので、穴を開けるのは簡単だったようです。
そのエアコンは会社で緊急に使いたいのにエアコンがなくて困っていると聞いた時に、『とりあえず我が家のを使って下さい』って言って持っていかれたまま。穴は埋まってません。代わりのエアコンを買ってもらえるという話もありましたが、停電ばかりで頼りにならないし、雨季の暑い時期でも何とか工夫して我慢出来たし、諦めてました。
ずっと壁に穴があいたまま。鉄格子に囲まれたテラスに面した壁なので、防犯上の問題はありません。ただ、テラス経由で蚊がいっぱい入ってくるので、丸めた新聞紙で穴を塞いでいました。なぜペンキで埋めなかったのかと言うと、もしかすると電力が再び安定供給されて、もしかして会社が代わりのエアコンを買ってくれる日が来るかも知れないので、その可能性を塞ぐようなことをしたくなかったのです。結局、そうならなかったのですが…。あいたままの壁に、丸めた新聞紙が丸見え。
大家さんはボロっちい我が家を見渡して、『きれいにお使いですね』っぽいこと言い、『寝室の壁に穴があいてるのだけ塞いでくれたらそれでいい。』って言ってくれました。割ったガラス弁償しなくていいんですか?みたいなことは触れず、『わかりました。必ず壁を直しておきます。』と、神妙な顔で約束しておきました。…ラッキー♪
家中をピカピカに掃除してくれた上、門番たちにも徹底して庭をキレイにするように指導してくれた、メイドさんのお陰です。まあ、窓ガラスが割れていても気にしない大らかな大家さんだったので、仮に私たちが汚く使っていたとしても、何も弁償しろと言わなかったような気はします。
posted by サウンジャ at 23:00|
発展途上国アフリカ駐在での出会い
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